院長ブログ
新型コロナウイルスは子供にとっては風邪のウイルス
子どもさんが熱や咳が出た時、この時期ですから、「新型コロナだったらどうしよう」と心配される親御さんも多いと思います。そんな親御さんがちょっぴり安心できる話題を提供します。
第61回日本臨床ウイルス学会学術集会において、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学教授の森内浩幸先生が「COVID-19(新型コロナウイルスで引き起こされる病気のこと)と小児」をテーマに講演されました。各国の新型コロナウイルス(ウイルスの正式名称:SARS-CoV-2)感染者の年齢分布のデータを示され、世界でも18歳未満のSARS-CoV-2感染者の割合は少なく(米国1.7%、イタリア1.8%)、無症候性(症状がないこと)のことが多いと話されました。日本においても20歳未満の感染者は割合も少なく、現時点での死亡例はないことをも報告。子どもにとってのSARS-CoV-2の危険性については、15歳未満ではCOVID-19よりもインフルエンザ・肺炎の方が遥かに重症化しやすく、さらにこわいのがRSウイルス(特に乳幼児)であると述べられ、より注意すべき既存の感染症があることを強調されました。2歳未満や基礎疾患を持つ子どもではSARS-CoV-2は重症化のリスクとなりますが、それは風邪でも同様であり、SARS-CoV-2は子どもにとっては基本的に風邪のウイルスであると話されました。
[2020-10-30]