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院長ブログ

新しいHPVワクチン(子宮けいがん予防ワクチン)について

4月から新しいHPVワクチンが定期接種のワクチンとして接種できるようになります。「シルガード9」というワクチンで、いままでのワクチンは全部で3回打たないといけなかったのが2回の接種でよくなるというところが一番の違いです。ただし、小学校6年生から15歳の誕生日の前日までに1回目を接種した場合に限られる予定です。HPVワクチンは他のワクチンに比べて痛みが強いので(打った人によると新型コロナワクチンよりかなり痛いとのこと)、2回で済むのは朗報ですね。

すでに「ガーダシル」など別のHPVワクチンを接種された方は原則同じワクチンで2回目、3回目も接種することになります。

詳しくは担当の先生にお聞きください。


[2023-03-30]

BCG接種後の経過と「コッホ現象」について

 通常では、BCGを接種して10日位たつと、接種した場所のあとが赤くなったり(発赤)、腫れたり(腫脹)、膿をもったり(化膿)してきて徐々に反応がきつくなり、4週間後位が最も強くなります。その後、かさぶたができて3か月位でなおり、小さな痕が残るだけになります。

稀に、接種後すぐに(1~7日以内:多くは3日以内)接種部位に発赤、腫脹、化膿などがみられる場合があります。この早期の反応を「コッホ現象」と呼び、結核に感染している可能性があるので接種した医療機関に連絡する必要があります。ただ、皮膚の弱いお子さんの場合、接種の刺激のみでこのような反応がみられ経過とともに消失する「偽コッホ現象」あるいは「コッホ現象類似反応」がみられる場合がありこの場合は結核の感染の心配はありませんが、この場合も医療機関に診てもらってください。

いずれの場合も夜間、休日に診てもらわなければいけないほど緊急性はありませんので、スマートフォンなどに写真を残しておいて診療時間に受診されれば良いと思います。


[2023-02-27]

BCGワクチンが4月から個別接種になります

東大阪市では従来BCGワクチンは保健センターでの集団接種で実施されていましたが、昨年の10月から医療機関への委託が始まり、今年の4月からは保健センターでは実施されず、完全に医療機関での個別接種に移行します。

BCGワクチンは赤ちゃんを結核による重い病気(結核性髄膜炎や粟粒結核)から守るためのワクチンで生後5か月から8か月未満で1回接種します。

1歳までにするワクチンのうち口から飲むロタワクチン(生ワクチン)を除くワクチンはすべて不活化ワクチンで皮下注射しますが、BCGワクチンは弱毒化された生のワクチンを腕に垂らしハンコ型の針で押し付けて接種します。接種後ワクチンの液が乾くまでは生きた菌がいるので接種部位に、赤ちゃんがさわったり、お母さんの髪の毛や服が当たらないように気を付ける必要があります。

当診療所では、BCGワクチン接種は木曜日の午後3時から予約制で行っています。


[2023-01-20]

マスクをしていると熱中症になりやすい?

学校で運動会やその練習中に熱中症で救急搬送されたとの報道があり、その際によく「屋外でマスクを着用すると熱中症リスクになるので」とコメントされます。

日中でもよくマスクを着けて歩いている私の感覚では、マスクをしていると確かに蒸し暑く息苦しいと感じることはありますが「マスクをすることで熱中症になりやすい」というのは本当かな、コロナ以前と以後で熱中症患者が増えているかどうかぐらいはデータがあるはずなのに聞いたことないなと思っていました。

先日、ネットの日経メディカルで近畿中央呼吸センターの倉原先生の「マスク着用は本当に熱中症のリスクなのか?」という記事を見つけました。そこで、先生はいくつかの論文を引用されており、マスクをして運動してもマスクの部分の皮膚温は上がるが深部体温(直腸温や鼓膜温)は上がらないこと、日本から報告された研究においても、「コロナ禍に入って国内で熱中症が超過的に増える」という結論は導かれていないこと、マスク着用で酸素飽和度は高齢者でも下がらないことなどから「マスク着用が熱中症のリスクと断言するには、今のところエビデンスが乏しい」と述べておられます。ただ先生は、「熱中症になりそうだと感じたらマスクを外して涼を取り、水分補給などを行う方がよい(ベネフィットが勝る)のは言うまでもありません」とも述べておられますし、結局その場に応じて個人が考える問題だと書かれています。

仕事がら感染の機会があるので他人にうつしたくない(もちろんうつりたくもありませんが)マスクしたい派の私としては、街中では当分の間、熱中症を気にすることなくマスクをして歩こうと思います。


[2022-06-17]

小児の原因不明の肝炎について

最近、小児において通常知られている肝炎ウイルスが陰性の急性肝炎が増加しており、重症で亡くなったり、肝移植をしなければいけない患者さんが出たりとの報道があり心配されている親御さんもおられると思います。

この小児の原因不明の急性肝炎については厚生労働省がマスコミ向けに5月6日にプレスリリースを発表しています。内容をそのまま引用しますと「世界保健機関(WHO)の報告によると、5月6日現在、12 カ国で少なくとも 169 例(死亡1名)の小児における原因不明の急性肝炎が継続して報告されています。うち、74 例でアデノウイルスが検出されていますが、原因ウイルス等については不明であるとされています。また、小児における急性肝炎が実際に増加しているのかについても、不明であるとしています。WHOでは、この急性肝炎の原因特定を目的として、暫定的な症例定義を定め、各国に症例定義に該当するケースの報告を求めています」ということで、小児において実際に増えているのかも含め調査中でアデノウイルスとの関連性も含めて何もわかっていないということです。言い方を変えると、子どもの診療に携わっている医療者以外は何も心配しなくてもいいというか心配しようがないということです

ちなみに2021 年 10 月以降の今年の5月5日18 時までに厚生労働省に報告されている患者数は7人で亡くなられた方はおられず、ウイルス検査で新型コロナ陽性が1人、アデノウイルス陽性が1人、検査中が4人ということです。

 


[2022-05-17]

HPVワクチン(子宮けいがん予防ワクチン)の定期接種期間が延長されます

HPVワクチンの積極的な勧奨接種が再開されたことは、昨年の11月20日のブログにあげましたが、勧奨接種は2013年6月から中止されており、その間に接種対象であった小学校6年生から高校1年生の女子は接種することを控えていた可能性があります。そこで、厚生労働省が今年の4月以降、平成9年度生まれから平成17年度生まれまでの女子を一時的に定期接種の対象とすることを決定しました。定期接種となる期間は令和4年4月から令和7年3月までの3年間です。このように、時限的に従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を行うことをキャッチアップ接種といいます。

子宮頸がんは、性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、がん化する病気ですので、HPVワクチンで感染を予防することで子宮頸がんの発症も予防できるわけです。今年の1月には、「イングランドではHPVワクチンによって子宮頸がんの根絶にほぼ成功した」との論文がLancetという医学雑誌に発表されています。キャッチアップ接種の対象の女子でHPVワクチン接種を考えておられる方はこの機会に接種を検討してください。キャッチアップ接種には予防接種施行令という法律の改正が必要なため、現時点で詳細が分かっていないところがありますので、医療機関への問い合わせ、相談などは4月以降にしてください。


[2022-03-28]

おたふくかぜについて

おたふくかぜはムンプスウイルスに感染することで熱が出て耳の下にある耳下腺が腫れて痛くなる病気です。だいたいは経過良好なのですが、膵炎や髄膜炎をきたして入院治療が必要となる、精巣炎をおこし男性不妊の原因になる、耳が聞こえなくなる(難聴)などの合併症もあります。

これらの合併症を防ぐにはおたふくかぜワクチンを接種するのが一番で、2回定期接種を行っている国ではおたふくかぜが99パーセント減少したとされています。日本では日本小児科学会などが以前から要望書を国に提出していますが、まだ定期接種ではなく任意接種のままで有料です。

合併症の中で難聴は極めてまれなものであり、万一発症しても片側のみの失聴で大きな問題がないとされてきましたが、2015年から2016年のおたふく風邪の流行時に日本耳鼻咽喉科学会が調査したところ2年間で359人のムンプス難聴の報告があり、詳細の明らかな335人中305人は障害が残り一側難聴の263人、両側難聴の13人が高度難聴以上になっていました。この調査で、ムンプス難聴は決して稀ではなく、一側難聴でも学校生活等で多くの困難を感じていることが明らかとなりました。日本以外の多くの国では、おたふくかぜはすでにワクチンによりほぼ制圧された疾患となり、ムンプス難聴患者の発生もほぼなくなってきています。

おたふくかぜワクチンは任意接種なので接種年齢の決まりはありませんが、日本小児科学会は1回目を1歳時に、2回目を小学校入学前の1年間に接種することを推奨しています。

 


[2022-02-25]

忘れがちな3歳以降の予防注射

赤ちゃんの時の予防注射は間隔も短く、風邪なども引きにくいので予定通りに行くことが多いのですが、3歳から接種する日本脳炎からついつい忘れがちになってきます。

3歳以降の定期接種の主なものは3歳で2回、4歳で1回、9歳から1回の計4回接種する日本脳炎ワクチン、小学校入学前の1年間で接種するMR(麻疹・風疹)ワクチン、11歳からのDT(二種混合)ワクチンと前回とりあげたHPVワクチンの4種類です。

日本脳炎ワクチンは昨年供給不足のために打てなかった方もおられると思います。現在もまだ不足気味ですが、供給は徐々に回復傾向にあります。最初の3回を第1期と呼び、7歳半までは定期接種ですので、母子手帳を確認してかかりつけ医で打つようにしてください。9歳からの接種は第2期といいますが、こちらは13歳の誕生日前日まで定期接種です。

MRワクチンは1歳で1回打っていますが、就学前つまり「年長さん」の4月1日から次の年の3月31日までの間に2回目を打たなければいけません。現在「年長さん」でまだ打っていない方は3月31日までに必ず打ってください。

DTワクチンは主に破傷風の予防を目的に接種します。交通事故や災害など万一を考えると打っておくべき予防接種です。13歳の誕生日前日まで定期接種で打つことができます。注射液の量が0.1mlと最も少ない予防注射です。


[2022-01-13]

HPVワクチン(子宮けいがん予防ワクチン)の積極的勧奨が再開されます

子宮頸がんは、性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、持続感染することでがん化する病気です。日本での患者数は年間約1万人、20代後半から増加し40代以降は概ね横ばいになります。早期に発見されれば比較的治療しやすいといわれていますが、がんであることには変わりがなく年間約3,000人が死亡しています。最近では、20代から30代で患者さんが増えています。

日本では、HPVに感染することを予防するHPVワクチンが2013年4月に中学1年生から高校1年生までを対象に定期接種となりました。ところが、その2か月後にワクチン接種後の原因不明の慢性疼痛などを伴う有害事象報告があり、「積極的な接種勧奨」が中止されていました。その後、厚生労働省の専門部会で種々の検討が行われ、2021年11月1日に「積極的な接種勧奨」を再開することが決まりました。

子宮頸がんは命に関わる「ワクチンで予防できる疾患(VPD)」です。日本では副反応ばかりが大々的に報じられがちで、「ワクチンで予防できる疾患(VPD)」のこわさは伝わりません。かけがえのない子どもたちの健康や未来を守るには、接種することのリスクとVPDになることのリスクを比較して冷静に判断することが必要です。保護者だけでなく、ワクチンを受ける思春期の子どもたち自身が予防接種の必要性を十分に理解することも大切です。

HPVワクチンについては「厚生労働省子宮けいがん」で検索すると詳しい情報が手に入ります。かかりつけの先生に相談されるのもよいと思います。


[2021-11-20]

今年のインフルエンザについて-流行する?しない?ワクチン打つ?打たない?-

 

昨年はインフルエンザの流行はほとんどありませんでした。コロナが流行していたからとかコロナの影響で手洗い・マスクが徹底していたからだとか言われていました。同様にインフルエンザ以外の子どもの感染症も激減していたのですが、今年になってからは昨年流行しなかったRSウイルスが大流行しました。昨年RSウイルスが流行しなかったため免疫のない子どもが多かったからではないかと考えられ、手洗い・マスクの限界が証明されてしまいました。こうなると、同じ理屈で、昨年インフルエンザが流行しなかったので免疫のない人が多いため、今年はインフルエンザが大流行するのではないかと推測する報道もあります。また一方で南半球では2年続けてインフルエンザの流行がなかったことから、日本でも流行はおきないのではないかといわれる専門家もおられます。

昨年はコロナの流行もあり、インフルエンザワクチンの接種が早くからさけばれていましたが、今年はさほど報道されていません。実際、今年のインフルエンザワクチンの出荷量は昨年の7割程度になりそうということで国としてもあまりインフルエンザワクチンの必要性を感じていないのかなと想像しています。コロナと異なりインフルエンザには治療薬もありますしコロナワクチンの接種の方が優先なのかもしれません。

インフルエンザには治療薬がありますが、乳幼児に多い死亡率の高いインフルエンザ脳症にはインフルエンザの治療薬は効果がないためワクチンでかからないように予防することが重要です。子どもの場合ワクチンは2回打たないといけないので早めに1回目を接種することをお勧めします。13歳以上になれば接種は1回で済みますので年内をめどに接種されるとよいでしょう。インフルエンザワクチンが不足する可能性もありますし、コロナワクチン接種との兼ね合いもあります。詳しくはかかりつけ医にご相談ください。


[2021-10-01]
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