院長ブログ
かぜに抗生物質は効かない
かぜに抗生物質は効かない
「風邪に抗菌薬(最近は抗生物質のことをこう呼びます)は効かない。」と聞いて「えーーーーー」と思う方、「当たり前やん」と思う方、どちらもおられると思います。
実際、私が医者になりたての時は、高い熱がでていれば抗生物質を処方するのが当たり前でしたし、「風邪だけど、ばい菌の感染がおきてくるかもしれないので抗生物質もだしときますね」と言っていました。
でも、最近では、風邪のほとんどはウイルスが原因なので抗生物質は効き目がなく、出さないのが普通になってきて、外来で「どうしても抗生物質がほしい」と言われるお母さんもほとんど見かけなくなりました。
厚生労働省も遅まきながら、「抗微生物薬の適正使用の手引き」をもうすぐ出し、その中で「かぜに抗菌薬を使うな」と言っています。まず、この手引きではかぜのことは感冒と称し、「発熱の有無は問わず、鼻症状(鼻汁、鼻閉)、咽頭症状(咽頭痛)、下気道症状(咳、痰)の3 系統の症状が「同時に」、「同程度」存在する病態を有するウイルス性の急性気道感染症を、感冒に分類し、感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨するとしています。つまり、「せき、はなみず、のどの痛みが同じ時期に同じ程度にあれば、それはかぜで抗生物質はいらない」ということです。
ただ、一度よくなっていたのに、症状が再度出現してくるような、経過が思わしくない場合は、抗生物質の投与が必要な場合もありますので、再度、受診するようにしてください。
[2017-05-27]