院長ブログ
マスクをしていると熱中症になりやすい?
学校で運動会やその練習中に熱中症で救急搬送されたとの報道があり、その際によく「屋外でマスクを着用すると熱中症リスクになるので」とコメントされます。
日中でもよくマスクを着けて歩いている私の感覚では、マスクをしていると確かに蒸し暑く息苦しいと感じることはありますが「マスクをすることで熱中症になりやすい」というのは本当かな、コロナ以前と以後で熱中症患者が増えているかどうかぐらいはデータがあるはずなのに聞いたことないなと思っていました。
先日、ネットの日経メディカルで近畿中央呼吸センターの倉原先生の「マスク着用は本当に熱中症のリスクなのか?」という記事を見つけました。そこで、先生はいくつかの論文を引用されており、マスクをして運動してもマスクの部分の皮膚温は上がるが深部体温(直腸温や鼓膜温)は上がらないこと、日本から報告された研究においても、「コロナ禍に入って国内で熱中症が超過的に増える」という結論は導かれていないこと、マスク着用で酸素飽和度は高齢者でも下がらないことなどから「マスク着用が熱中症のリスクと断言するには、今のところエビデンスが乏しい」と述べておられます。ただ先生は、「熱中症になりそうだと感じたらマスクを外して涼を取り、水分補給などを行う方がよい(ベネフィットが勝る)のは言うまでもありません」とも述べておられますし、結局その場に応じて個人が考える問題だと書かれています。
仕事がら感染の機会があるので他人にうつしたくない(もちろんうつりたくもありませんが)マスクしたい派の私としては、街中では当分の間、熱中症を気にすることなくマスクをして歩こうと思います。
[2022-06-17]