院長ブログ
予防接種に反対するのはなぜ
親御さんが自分の子供にワクチンを打つのをかたくなに拒否する理由にはいろいろな背景がありますが、最も多いのがワクチンを打つと自閉症になるという根拠のない「うわさ」を信じこんでしまっていることがあげられます。
このうわさの元は、イギリスのアンドリュー・ウェイクフィールドという医師が1998年に一流雑誌「ランセット」にMMR(はしか、風疹、おたふくかぜの三種混合ワクチン)接種後に自閉症を発症した子どもの事例を報告する論文を発表したことでした。その後、論文のデータを捏造していたことが判明し、論文は撤回され、ウェイクフィールドは医師免許を剥奪されたのですが、この事実は広く伝わらず、うわさだけが残ってしまったわけです。MMRワクチン接種と自閉症の発症には全く関係ないことが、その後多くの調査研究で分かっており、最近では、デンマークで1999~2010年に生まれた子供全員に相当する65万人以上を10年以上にわたって追跡調査したところ、MMRワクチンを接種した子どもと接種しなかった子どもの間で自閉症の発症数にまったく差がなかったという報告が米国の「内科年報」に発表されています。
よく安全と安心は異なるといいますが、ワクチンが自閉症の発症に関係していないことが十分に伝わっていないために安心につながらない、医療従事者や薬品メーカー、厚生労働省・政府への不信感があるため安心につながらないなどの要因もあると思われます。ワクチン接種に不安のある親御さんは遠慮なくかかりつけの先生に質問して、安心してワクチンを接種するようにしてください。
[2020-02-18]