院長ブログ
HPVワクチン(子宮けいがん予防ワクチン)の積極的勧奨が再開されます
子宮頸がんは、性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、持続感染することでがん化する病気です。日本での患者数は年間約1万人、20代後半から増加し40代以降は概ね横ばいになります。早期に発見されれば比較的治療しやすいといわれていますが、がんであることには変わりがなく年間約3,000人が死亡しています。最近では、20代から30代で患者さんが増えています。
日本では、HPVに感染することを予防するHPVワクチンが2013年4月に中学1年生から高校1年生までを対象に定期接種となりました。ところが、その2か月後にワクチン接種後の原因不明の慢性疼痛などを伴う有害事象報告があり、「積極的な接種勧奨」が中止されていました。その後、厚生労働省の専門部会で種々の検討が行われ、2021年11月1日に「積極的な接種勧奨」を再開することが決まりました。
子宮頸がんは命に関わる「ワクチンで予防できる疾患(VPD)」です。日本では副反応ばかりが大々的に報じられがちで、「ワクチンで予防できる疾患(VPD)」のこわさは伝わりません。かけがえのない子どもたちの健康や未来を守るには、接種することのリスクとVPDになることのリスクを比較して冷静に判断することが必要です。保護者だけでなく、ワクチンを受ける思春期の子どもたち自身が予防接種の必要性を十分に理解することも大切です。
HPVワクチンについては「厚生労働省子宮けいがん」で検索すると詳しい情報が手に入ります。かかりつけの先生に相談されるのもよいと思います。
[2021-11-20]