院長ブログ
こどもの急病
こどもの急病
こどもの体調が悪くなった時、平日の日中であればかかりつけの先生に診てもらえば安心ですが、こどもは夜中や、土日など、医療機関が閉まっているときに限って熱を出したり、しんどがったりするものです。すぐに医療機関に連れていくべきかどうか悩むこともあるかと思います。こんな時に役に立つホームページ(HP)について今日はお話しします。
ネットにつないで、検索のところに「日本小児科学会」と入れて学会のHPをクリックしてください。すると、最初の画面の右上に親子4人のイラストがあり、その下に「こどもの救急」という緑の文字があります。
そこをクリックすると別の画面になり、使い方などが書いてあります。左の列にはピンクの文字で「気になる症状」が並んでいます。試しに「発熱(38℃以上)」をクリックしてみると、8個の□と文章が出てきます。「1日中ウトウトしている。」の□をクリックしてその下の「結果を見る」をクリックすると、「行く!」とでて自家用車かタクシーで病院に行きましょうとなります。準備する持ち物の一覧もでます。他に、「ぐったりしている。」、「無表情で活気がない。」、「生後3カ月未満である。」にチェックが入ると病院に行きましょうとなり、チェックがない場合は「待つ」と出て、診察時間が来たら病院に行きましょうとなります。
発熱のところにはありませんが、「行く!救急車で病院に行く」のメッセージが出ることもあります。例えば、「せき・ゼエゼエする」のところで「声がかすれてほとんど聞こえない。話ができない。」のところにチェックを入れると、このメッセージが出ます。
こどもさんの体調で気になることがあり、病院に行くかどうか迷ったときに、参考にしてください。
*上の画面の説明はパソコンの場合です。スマホでは少し違いますが少し探せば出てきます。
赤ちゃんの湿疹と食物アレルギー
以前に「肌の弱い赤ちゃん」について書きました。そこで、赤ちゃんの皮膚のトラブルの原因を食物アレルギーと考えているお医者さんは少数派になってきていると書きました。私も、随分前から、赤ちゃんの湿疹の原因が食物アレルギーであるという考えには疑問をもっていました。その、根拠をいくつかお話ししたいと思います。
1) まだ、母乳しか飲んでない赤ちゃんにも湿疹が出る。
2) 検査で出た、原因かもしれない食物をお母さんが一生懸命やめても、赤ちゃんの湿疹は全くよくならない。
3) ある有名な皮膚科の先生がおっしゃるように、赤ちゃんの湿疹は、食べ物が通過する口の周りや、お尻の穴の周りにはほとんど出ない。
4) 赤ちゃんの湿疹は、食事の制限をしてもしなくても、お肌の手入れをしていれば自然によくなってくる。
5) 入院しなければならないほどのひどい湿疹の患者さんで、食べ物アレルギーの検査であるRAST検査で、ほとんどの食べ物に高い値を取っており、食物制限がまったくできなかった患者さんが、きれいになおった経験があること。
などです。
でも、湿疹もあるし、もうすぐ離乳食始めるし心配という方は、相談しに来てください。
もちろん、狭い意味での食事アレルギー、何かを食べてすぐに、ジンマシンが出る、呼吸がヒューヒューするなどの症状がある場合は食事の制限が必要になってきます。このような場合は、家族の人に原因がはっきりしていることが多いのです。このような場合、とくに呼吸の症状があるときは要注意です。必ず、受診しましょう。
体にブツブツができた
子どもは体にはよくブツブツができます。
ブツブツは誰が見てもはっきりと見えますから、お医者さんに行こうということになります。ただ、このブツブツ、専門用語では「皮疹」といいますが、なかなかの「医者泣かせ」なのです。典型的な皮疹は簡単に診断がつきますが、何かよくわからないブツブツも結構たくさんあるので、「お医者さんに診てもらったけど、なんかよう分からん。」と言われた経験をお持ちのお母さんのおられることと思います。
一目見ただけで診断がつくものとしては、「みずぼうそう」や「みずいぼ」、「じんましん」、「手足口病」などがあげられます。
「みずぼうそう」や「手足口病」はウイルスが原因の病気でうつります、周りで流行っているかどうかが参考になりますし、ブツブツの出る場所も決まっています。「みずぼうそう」は「水痘」ともよばれ、すべてのブツブツが全部かさぶたになるまで、保育園や学校に行けません。お医者さんのサインがいる治癒証明書が必要です。これに対して「手足口病」は元気で熱がなければ登校、登園が可能です。これは、「手足口病」のウイルスは症状がなくなっても長い間、排出されるので登園・登校を中止しても流行を食い止める効果がないからとされています。
「みずいぼ」は正式には「伝染性軟属腫」とよばれ、「伝染性」の名前の通りうつります。この病気もウイルスによるもので時間はかかりますが、自然に免疫ができて治りますし、見た目が少しよくないですが、本人は痛くも痒くもありません。それならほっとけばよいのですが、保育園でプールに入れてもらえないため、悩みの種となっています。小児皮膚科学会の先生方は、「みずいぼ」はプールの水では移りません。浮き輪やタオルなどに気を付ければプール参加して大丈夫と言ってくださっているのですが、実際はプール禁止の施設が多いです。
「じんましん」は膨疹といって蚊にかまれたような赤く膨れたブツブツが体の柔らかい部分に出るのが特徴です。なかには、地図のようにひろがって出ることもあります。「じんましん」というと、食べ物が原因と思われがちですが、何かを食べている最中、食べ終わって30分ぐらいで出た場合を除いて、原因がはっきりしない場合がほとんどです。いずれにせよ、人にうつることはありません。
保育園や学校に行っている場合は、うつる病気かどうかが大事なので、お医者さんに行って診てもらいましょう。
肌の弱い赤ちゃん
お肌がカサカサであちこちが赤くなり、あちこちボリボリと掻きむしる赤ちゃんがいます。赤ちゃんの肌はツルツルすべすべというのは勝手な思い込みで、10人に9人まではなんらかのお肌のトラブルをかかえているのが普通です。テレビのCMに出ている赤ちゃんはお肌がすべすべですが、CMにでてくる大人の男性、女性に美男美女が多いのと同じで、選ばれた赤ちゃんが出演しているのです。赤ちゃんは、少し前までお母さんのおなかの中にいて、羊水につかっていたわけです。一定の温度、湿度でしかも外からの刺激一切なしの環境で過ごしていたのですから、生まれてきたとたん、空気が乾燥していたりするとお肌のトラブルが起きるのは当たり前と言えばあたりまえですよね。
ただ、同じようなお肌の赤ちゃんを見てどう思うかはお母さんによって違います。ベテランのお母さんで、お兄ちゃん、お姉ちゃんで経験していると、まあ様子見ようかということになりますが、初めての赤ちゃんだったり、お兄ちゃんやお姉ちゃんは肌がきれいだったりすると心配になりますよね。
何故、いわゆる湿疹ができるか?いまでは、赤ちゃんの皮膚が水分を捕まえておく力(保湿力)が弱いためと言われています。私もそうですが、年を取ると、肌がカサカサになり、冬場には体が痒くなり、粉をふいたりします。新聞がめくれなくなり、スーパーの袋もめくれなくなります。これも年齢とともに、保湿力がなくなってきたためで、年をとると赤ちゃん返りするといわれている現象の一つかもしれませんね。
話が少しそれましたが、赤ちゃんの皮膚のトラブルを防ぐには、しっかりと保湿してあげることが重要で、最近では、生まれてすぐの、なにもブツブツのない時から保湿剤を体に塗ることを進めておられる先生方もおられます。保湿剤は特別なものでなくともよいと思いますが、肌に直接触れますから、合う合わないがあるかもしれません。
少しかさついている、少し赤みがあるぐらいであれば、保湿剤を塗っていれば、お誕生のころにはきれいになっています。ただ、かなり、掻き傷があったり、赤みが強くテカテカ、ジュクジュクしてくるようならお医者さんにかかりましょう。いずれにしても、ほとんどの赤ちゃんがお誕生頃にはきれいになっているので、あまり心配はありません。
最後に、赤ちゃんの皮膚のトラブルの原因が食物アレルギーと考えているお医者さんはかなり少数派になってきています。このことについては、また別の機会に。